ロビーには数人の老人が集まっていた。皆が無言だった。なぜ、僕をこの場に呼んだのかわからなかった。僕は身分を明かしてはいなかったし、本を書く目的でアフガニスタンを訪ねていることも伝えてはいなかった。しかしあの時期、一般の観光客がアフガニスタンを訪ねるわけがなかった。アフガニスタン政府は、安全であることを宣言し、観光ビザも発給していたのだが、そんなことは誰も信じてはいなかった。「なぜ、私たちはこれほど攻撃されなければならないのか」老人たちは無言で僕に語りかけていた。
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彼らが味わっている悔しさは、深く、暗かった。やがてそれは憎しみへと変質していってしまったのかもしれない。新生アフガニスタン政府が成立した後も、多国籍軍はアフガニスタンに駐留している。その部隊にむかって、タリバンの残党たちがゲリラ戦を仕かけていた。そんな事件の多くは、カンダハルの近くで起きていた。そのカンダハルへの入口がこのクエッタだったのである。